天才と発達障害の違い
最近、耳にする方も増えてきているのではないでしょうか。
発達障害。
当事者の方もいらっしゃるかもしれないし、関わっている方もいらっしゃるかもしれません。
天才と馬鹿は紙一重という言葉がありますが、天才と発達障害についてのお話です。
私は現在進行形で発達障害のお子様へ支援をしておりますので、発達障害の多様性と明確にできない曖昧さ、さらに分類だけでなく能力に関してもグレーゾーンがあるということは肌に感じております。
そんな考え方もあるのか!という気持ちでお読みいただけると幸いです。
1.こんな天才がいたよ
私が、地域のいわゆるトップと言われる学習塾に勤めていたときにいた子です。
その子はパズルが大好きで、いつもパズルを解いたり、勝負を挑んでくる子でした。
「パズルってすっごい楽しいよね!」
「パズルだったら誰にも負けたくない!」
そんな言葉が口癖でした。
その子の素晴らしいところは、2手先3手先まで読みとおす力と、それを瞬時に考えるスピード、記憶しておく力でした。4目並べや頭を使う数独のようなプリントなど、大好きで大人でも勝てませんでした。むしろ、そういうゲームって子どもたちの方が強かったです。
その子は成績もトップクラスで、負けん気も強くて受験にも成功しました。もちろん途中で悔しい思いもたくさんしたし、ずっと順調だったわけではありません。
周りから見たら、頭が良くて、成績が良く、素直で、学校もいいところに行った。
天才と言われて誰も反論しないような子どもだったと思います。
2.こんな発達障害の子がいたよ
さて、こんな子どももいます。この子は発達障害の診断を受けて、IQが71の子です。
その子は電車が大好きで、いつも電車の動画を見て、いつも電車の話をしてくる子でした。
「電車ってかっこいいよね!」
「電車の音のことだったら誰にも負けない」
そんなことを言う子どもです。
その子の素晴らしいところは、好きな路線の駅をすべて言えることと、走行音を聞いただけで電車の型番が分かり、ゲームをやらせると手先がとても器用で難しいレトロゲームをノーミスで何週もクリアするところです。
どれひとつ勝てませんでした。
その子はストレスを感じやすいため学校には週3日しか行けず、学習の内容は2学年下のことをやり、好きなことの話はなかなか止められない、そんな少し生きづらさを抱えた子です。
周りから見たら、興味が人とずれていて、空気が読めずに、勉強ができない子。
発達障害と言われて、確かに、と言われるような子です。
3.周囲(世界)との関係性
対照的な二人のことを書きましたが、ふたりを分ける天才と変わった子を分ける要素は何でしょうか。
それは、周囲との関係性です。
周りから求められているスキルが高い方が天才と言われ、そうでない方は天才と言われないのです。
電車の走行音聞いて、〇〇年に作られた△△の型の電車だよって、そんなことが分かる人いますか?これが求められるような周囲(世界)だったら、彼は大天才なんです。
たとえIQが低くても、空気が読めなくても。
そして、
パズル好きな子が「リンゴの種類の違いが全く分からない」と言っていました。
電車好きな子は「人の気持ちの読み取りが全く分からない」と言っていました。
もし、世の中がリンゴの種類がものすごく大事な価値観だったとしたら、
困るのはどちらでしょうか?
一概には言えませんが、このような得意と不得意の凸凹が大きすぎる場合、とがりすぎている場合とかは意外と多かったです。
たまたま、得意なことと求められていることが一致したのが天才。
たまたま、不得意なことと求められていることが一致したのが発達障害。
たまたま、不得意なことがどうでもいいとされるラッキーだった子が普通。
たまたま、得意だったことがどうでもいいとされる不運な子が発達障害。
このような場面は、思っているよりも数多くあります。
実際の仕事をしている大人たちの中でも不一致がたくさん生まれて、
苦しんでいる方が大勢いらっしゃいます。
4.まとめ
対照的な例を出して、この世の中にある障壁は、個人だけの問題で終わるようなものだけではないということでした。自分の特徴と、周囲との関係性によって障壁は生まれるもので、
どちらか一方だけの原因ではないということです。
5.最後に
いかがでしたか?あえて極端な例を出しましたが、ここで伝えたかったことは自分の強みを知ると同時に周囲がどんな環境か、ということも同じように大切だということです。
障壁と同じように、自分の強みも周囲との関係によって生み出されるものだからです。